20日は3つのシンポジウムに参加しました・・・の続きです。
2つ目のシンポジウムは、最も出席したかったもので、琉球大学の等々力英美先生が企画され、座長を務められた「地域・学校におけるヘルスプロモーションを目指した食育の現状と課題」というテーマのシンポジウムでした。
一口に「食育」といってもその間口は広く、いろいろな切り口があります。
等々力先生は以前からヘルスリスクの低減につながる食育の充実を図る必要があるという意見をお持ちです。
以前、松本大学に特別講師として来ていただいたときにも、二人でそのことについてディスカッションしました。
学会前日の18日にご一緒に食事をしたときにも、それに関する話をしていたのです。
等々力先生は、栄養素と疾病との関わりについてできるだけ早い時期から伝えていくことが大事であるとのお考えから、沖縄県内の小学校で知識習得を中心とした学校ベースの介入研究を行っていらっしゃるのです。
科学的にエビデンスを示そうとするその姿勢には、いつも頭がさがります。
今回のシンポジウムは、その話題に、さらに新潟県立大学の村山伸子先生の「社会経済格差からみた子どもの食と食育」というお話も加えて考えようという企画でした。
「栄養素と疾病との関わりについて知ること」と「疾病予防に向けた行動ができること」との間には、壁があります。
“知っているからできる”というわけではありません。
そこには家庭を巻き込んだ働きかけが必要でしょう。
「保護者の収入が少ないと時間的ゆとりもなく、子どもたちには食知識や食スキルが不足するという負の連鎖が生じる」ことも納得できることでした。
そのために食育として取り組むべきことはたくさんありますが、現在の学校における食育推進の体制のなかで、これを進めるにはかなりの無理があるように思います。
家庭を巻き込むことが機能しない可能性が高いからです。
学校での食育推進には政策レベルの取組が不可欠であると思います。
そのために、等々力先生のように「エビデンスをつくっていく」が重要なのです。
私の今の研究は、「学校の枠を外して」という視点での活動になっていますが、それだけではいけないと考えさせられたシンポジウムでした。
等々力先生には事前に、最後にコメントをお願いするかもしれないと言われていたのですが、フロアからの質問や意見が多く出され、私がコメントする時間はなくなりました。
シンポジウム後に「申し訳なかったです」と言われたのですが、皆さんの意見をお聞きできたほうがよかったと思いますし、正直、私はほっとしたのです!
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